酸素供給剤が求められている背景
タキイ種苗が『酸素供給剤』の必要性を確認し、
販売に至った背景をご紹介します。
植物の成長に大きな影響を与える
「根の呼吸」
植物の全ての細胞において呼吸は行われていますが、特に重要なのが「根の呼吸」です。
大気中には一定の濃度の酸素があり不足することはありませんが、土壌中では植物の根はもちろん土壌微生物も呼吸しているため酸素が不足しやすくなっています。
根の呼吸に必要な酸素が不足すると、せっかく肥料を施しても上手く吸収することができず、地上部の成長にも悪影響を及ぼすことがわかってきました。
ここでは、タキイ種苗が『持続型酸素供給剤 オキソパワー5(オキソシリーズ)』の販売に至った背景をご紹介します。
『酸素供給剤』が求められている背景
土壌における『酸素』の必要性
施設栽培においては近年、栽培環境のモニタリング(見える化)が進み、温度・湿度の効率的な管理や炭酸ガスの効果的な施用などにより、収量向上・秀品率改善の成果をあげています。
一方で、露地栽培においては、まだまだ研究や技術進歩が伴わず、気候変動に伴う天候不順の影響を受けやすく、収益性の不安定さは否めません。
オキソパワー5は、施設を中心に施用されている『酸素供給剤』を露地栽培に活用し、収益の安定を図るべく商品化致しました。
土壌中の『酸素』が与える影響については、次のようなことが知られています。
土壌中の『酸素』が与える影響
- 滞水などの酸素不足による根の枯死、根腐れ
- 酸素濃度低下による肥料の吸収低下
- 土壌の深部ほど、酸素濃度は低下する
- 地温が高まるほど、酸素要求量が高まる(根の呼吸)
- 好気性微生物の活性や活動に酸素供給が有効(有機物の分解)
温暖化にともなう酸素供給の影響
近年、異常気象という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
気象統計などからも梅雨・秋雨の時期、期間の変化、大型台風の襲来、ゲリラ豪雨・集中豪雨の増加などが確認されており、露地作物を中心に湿害による生育不良や収益性の低下が散見されます。
また、盛夏では、日中の最高気温上昇に加え、地温や夜温の上昇に起因する、呼吸量の増加や消耗も問題となっており、従来と同様の作型や栽培が難しくなる場面も見受けられます。
特に、初期の活着不良や生育後半の樹勢維持は、根の活性や根量が深く関わっており、排水や高温対策や品種選定、作型や資材投入など、何らかの総合的な対策が必要になります。
経営環境の変化と酸素供給の関連
生産者の経営環境においても、近年は経営規模の拡大、農作業の効率化が進み、契約栽培や青果価格に応じた労力やコスト削減が求められています。
その結果、圃場では以下のような事象が認識されています。
労力やコスト削減が圃場に与えている影響
- 有機物の投入量減少による作土層の硬化
- 農業機械の大型化による硬盤層の形成
- 土壌硬度と排水不良による土壌病害の発生
- 微生物相の偏りや化成肥料多用にともなう養分バランスの崩れ
タキイ種苗では、オキソシリーズの提案を通して、土壌の酸素の必要性、土づくりの重要性を改めて認識致しました。
皆様におかれましても、土壌における酸素供給について是非一度ご検討を頂ければ幸いです。